明日から使えるマネジメントスキル vol.2(マネジメント会計における損益計算書)
前回は会計には「制度会計」と「管理会計(マネジメント会計)」があるということがわかりました。
https://since-around4.com/?p=421
今回はそのマネジメントをしていく中で大切なマネジメント会計の基本
「損益計算書」の項目についてご紹介します。
難しく考えず一つ一つ項目を理解すれば明日から使えるよ!」 [/chat]
今回の記事では、損益計算書の項目を一つ一つ説明していきます。
項目さえ理解してしまえば、後は各項目に数字を当てはめていくだけなので、
家計簿をつける気分で楽しく理解しましょう。
損益計算書とは
まず損益計算書とは、会社の利益を知ることのできる決算書です。
損益計算書には5つの利益があります。
[box03 title=”5つの利益”]
売上総利益(粗利益)
営業利益
経常利益
税引き前当期純利益
当期純利益
それぞれの利益を分析することで、どこに改善点があるのか、何が問題なのか、など会社、部署、チームの経営戦略における基本的な分析ツールとしての役割があります。
売上総利益(粗利益)
売上総利益は、会社、部署、チームのメイン商品やサービスによって得ることができている利益を把握することができます。
「粗利(あらり)」や「粗利益(あらりえき)」と呼ばれています。
損益計算書は一番上の売上からどんどん引いていく構造でしたね。
つまり計算式は
売上総利益=売上高ー売上原価
となります。
売上高
売上高は、商品を販売したり、サービスを提供したりと、メイン事業の活動の結果として得られた収益です。
[jin-iconbox07]マネジメント会計はマネジメントが目的なので、商品やサービスが引き渡された時点で計上されます。そのため実際に現金が入ってくるタイミングとはズレが生じます。[/jin-iconbox07]損益計算書だけで全ての経営判断をすると売上は順調に伸びているのに、キャッシュアウト(お金が払えなくなる)が起こってしまいます。
売上原価
売上原価は、商品を仕入れたり、製造したりする際にかかった費用です。
業種によって考え方は違ってくるのですが、マネジメント会計ではかかった費用に、人的コストを上乗せして計算する場合もあります。
例:製造原価
商品1個あたり
原材料費 20円
人件費 10円
製造原価 20円+10円=30円
このように考えると、事業が展開していく過程でOEM(委託製造)を依頼する時などに正確に比較しやすく、これを含めないとそもそも何のためにOEMを依頼するのかがわからなくなります。
売上高と売上原価はわかりましたね。
ここで押さえておきたい最も重要なポイントは
そもそもお客様は同じものを他で安く買えるなら他で買った方がお得ですから。
なせ「ここで買ってくれるのか」そこに一番大事な要素がありますので、
ここは絶対押さえておいてください。
営業利益
営業利益は、その事業が営業活動やマーケティングを行って得た利益です。
計算式は
営業利益=売上総利益(粗利益)ー販売費及び一般管理費
急に難しい言葉が出てきましたが、恐れないでください。
販売費及び一般管理費
一般管理費は商品一つ一つにかかる費用とは違って、家賃、給与、光熱費、接待交際費など、営業活動を続ける中で必要になる費用のことです。
販売費は、商品の宣伝費用や広告費用、つまりマーケティング活動にかかる費用のことです。
いくら努力にかかる費用といっても、たくさんかければいいというものではありません。適切な費用対効果が大切です。
経常利益
経常利益は通称「けいつね」と呼ばれており、メイン事業以外の収益・費用をまとめたものです。株式の売却益や、メイン事業に付随して販売した商品の販売益などです。
海外で販売している事業は為替損益などもここに含まれます。
スタートアップ企業やベンチャー企業は、ほぼほぼ=営業利益だったりしますが、
最近ではグローバルに活躍するプロジェクトもあるので、
しっかりとここも押さえておきましょう。
計算式は
経常利益=営業利益ー営業外収益ー営業外費用
営業外収益
営業外収益は、会社、部署、チームがメインとする営業活動以外によって得られる収益のことです。
上記でも説明しましたが、株式の売却益、為替差益、預貯金の利子などがここに含まれます。
営業外費用
営業外費用は、メインとする営業活動以外に継続的にかかる費用のことです。銀行融資の利息、為替差損、株式売却損など、財務活動がここに該当します。
[jin-iconbox07]営業外費用と営業外収益をまとめて「営業外損益」と呼びます。[/jin-iconbox07]税引き前当期利益
税引き前当期利益は、税金を払う前の利益額です。
計算式は
税引き前当期利益=経常利益+特別利益ー特別損失
特別利益
特別利益は、事業とは無関係に一時的に発生した利益のことです。
営業外収益の株式売却益は、あくまで運用目的で得た収益で、元々運用が目的ではなく長期保有していた株式を売却して得た収益はここに含まれます。
通常であれば発生しない収益のことと覚えてください。
特別損失
特別損失は、事業とは無関係に、急遽発生した損失のことです。
これは実は何が特別損失にあたるかという決まりはないため、損失の内容、性質、金額から都度都度判断しなければならず、マネジメント会計では、そこまでシビアに見る必要はありません。
勘定科目は経理や税理士さんに丸投げです。
マネジメント会計において、ここから下の利益はあまり関係ないと思うかもしれませんが、それは大きいな間違いです。
当期純利益
さあついにここまで来ました。
当期純利益は、最終的な利益のことをいい、純粋な会社、部署、チームの利益となります。
つまり、ここがマイナスであれば赤字、プラスであれば黒字ということです。
計算式は
当期純利益=税引き前当期利益ー法人税等(法人税+法人住民税+法人事業税)
法人税等
会社が出した利益に応じて課される法人税、法人住民税、法人事業税を合わせたものです。
これは部署やチームではミクロ会計になるため、逆に入れてしまうとややこしく正確な分析ができなくなってしまうので、私は部署やチームで分析をする時は税引き前利益で分析します。
[jin-iconbox01]ミクロで分析する時はその分析単位が純粋に生み出している利益を正確に把握することが重要なので、部署なら部署、プロジェクトチームならプロジェクトチームが生み出している利益にフォーカスしましょう。[/jin-iconbox01]一方で、会社単位のマクロで分析する時は当期純利益で分析します。
[jin-iconbox08]ちなみに、消費税は損益計算書ではなく貸借対照表の「未払消費税」にとして表記されます。(税抜き方式の場合)[/jin-iconbox08]まとめ
損益計算書は一番上の売上高から順にかかった費用を引いていくことでその事業が最終的に得た利益がわかるようにしたものです。
重要なことは、
かかった費用をしっかりと把握することです。
それさえできていれば、後は各項目に当てはめていくだけです。
今回の記事では一般的な損益計算書を例に取りましたが、マネジメント会計では、当期でなくとも、週単位、月単位、四半期と、自分が分析したい期間のもので構いません。
その期間中に何がどのように起こったのか、その事業はどれだけの利益を残し、どのような評価をお客様からいただいたのか、どれだけ経費をかけたのか、など、自分が知りたい情報を抜き出すことが重要です。
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